
南アジアの国、バングラデシュの人たちが集う地域が東京都北区の東十条・十条エリアにあると聞いた。同国の首都にちなみ「リトル・ダッカ」と呼ばれているという。なぜ十条に? 好奇心のままにJR京浜東北線に飛び乗った。(安田信介)
東十条駅を降りて歩くと、戒律で豚肉などの飲食が禁じられているイスラム教徒向けのハラール食材店があちこちに点在し、緑地に赤い丸をあしらった国旗が顔を出す。濃厚なスパイスの香りがつーんと鼻を刺した。
話は約40年前、1人のバングラデシュ人の青年が東十条の地を踏んだことに始まる。大学卒業後、「日本語を学べば良い将来が待っている」と考えて来日したカウサル・ブヤンさん(61)だ。通った日本語学校が東十条駅近くにあった。
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